私が銀行員を辞めて覆面レスラー(自称)になったわけ その2
ある日の朝、
いつものように家を出ようとしたときのこと、
確かに、『そいつ』は、いました。
まるで今にも、『おはよう』と言わんばかりの顔で、そこに、いました。
当時の私はそのとき、
きっと誰かの悪いイタズラだろうと、思いました。
いや、正しくはそう ”思おう” としました。
その頃の私は、前職の勤務疲れもあり、すこし正気を欠いていたのかもしれません。
しかしこれが、ただのイタズラに思えなかったのです。
『ここで私がこいつをただのイタズラとして片付けてしまうのは、たやすいことだ。』
『しかしそうすればどうなるか?こいつはただ 《イタズラするためだけに買われたドンキホーテの940円のパーティーマスク》 というだけの人生で終わってしまうのではないか?』
『それで、本当に良いのか?』
『《イタズラするためだけに買われたドンキホーテの940円のパーティーマスク》さえ救えない人間が、人を幸せにすることなんてできるのか?』
そう考えていると、『こいつ』が何か、助けを求めているようにも思えてきました。
『た......す......け......て.......』
『たすけて.......』
『だずげでぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!』
そして気付くと私は、
こうなっていました。
今になって思うとあの出会いはある種、運命だったのかもしれません。
こうしてわたしは覆面レスラー(自称)として、第二の人生を歩むことになったのです。
そう、こいつと共に。
これからもこいつ共に、日々歩んでいきます。
引きつづき、よろしくおねがいいたし.......
『ちょっ、待っ』
『うわあああああああああ俺の940円がああああああっっっっッッッ!!!!!』